目標体重が目前になった頃、停滞期というものがやってきた。
色々な記事に載っていたのを見ていたので、「とうとう来たか」という気持ちで、びっくりはしなかった。

停滞期とは・・・減量を始めると、最初は面白いほど体重が落ちていくが、ある一定期間が過ぎると体重が落ちなくなってくる。減量に身体が慣れてしまって、飢餓状態と勘違いし、エネルギー消費を抑えてしまう。そのため体重が落ちにくくなる。

でもそんな状況になっても解決法がある。
それがチートデイだ!!

チートデイとは・・・「騙す日、ごまかす日」という意味なのだそう。
減量中一日だけ、「これでもか!」というくらい食べ、飢餓状態だと勘違いしている脳をリセットするのだそう・・・。

それを知った私は、早速ホテルのブッフェを予約して、週末に彼と一緒にお出かけした。そして、このときとばかりに、普段食べていない炭水化物を中心に、食べたいものを食べまくった。
スイーツもたらふく食べ、帰って来るときには、お腹がきついのと胃が苦しいのとで大変だった。
そして、とにかく喉が渇く・・・。そこに飲み物を飲むと、また胃が膨らんで苦しい。
それでも、毎週月曜日から金曜日までは糖質制限の食事をして、土曜日になると、ブッフェに行って食べまくった。そして、胃が苦しく、喉が渇く・・・。
これを何度か繰り返した。

でも、自分に罪悪感が生まれないように、「チートデイだから良いんだ!」と言って、食べていた。
すると、体重はまた思うように減り始め、ついに目標体重以下になった。
そうなっても、毎週土曜日はブッフェへ行って食べまくった。そして、お決まりのように、お腹を壊す・・・。

こんなふうにチートデイがマイブームになっていたときは、私は土曜日がとても楽しみになりすぎて、今思うと異常とも言える過ごし方をしていた。
まず、月曜日~金曜日の間、心が安定する状態が減ってきた。
今振り返ると、土曜日に食べまくることが、依存に近いものになっていたのだと思う。
土曜日が待ち遠しくて、平日はイライラが始まる。喫煙者がたばこを吸えないときのイライラに似ているのかな。
そして、土曜日は、食べている時だけ心が満たされる。
でも、食べ終わると、お腹と胃が苦しくて喉が渇き、身体は最悪の状態になる。
しかも、何度もお腹が痛くなり、トイレに行く。

それまでは、毎週土曜日には、彼とごく普通のランチに出掛けて、そのあといろいろなお店を見たりするのが楽しかったのに。チートデイだと、食後に体調が最悪になるため、街をブラブラすることもできなくなってしまった。
自分の胃袋の様子を見ながら、苦しくなる前にやめられたら良かったのだろうけど、ブッフェってそんな気持ちになれる場所ではない!別に、「元を取ってやろう!!」という気持ちはないが、つい全種類食べたくなってしまう。バカな私だ・・・。
一回持ってきたら次は別のものを取りに行けばいいのだが、「これおいしい」と思ったら、同じものを何度もおかわりする。
そして、スイーツなんて、「このときを待っていました!」と言わんばかりの量を食べる。
「これって、あまり良くないことなんじゃないかな・・・」と思い始めてはいたが、そう思ってからも、ブッフェ通いを何度か繰り返していた。

そんな時・・・、ついに身体が怒った!!

その日は、インターネットでショッピングモールの中にあるブッフェが紹介されているのを見つけて、料理の写真が美味しそうに見えたので、初めてホテル以外のブッフェに行った。
でも、実際に店に入ると、「なんだこれ?」とびっくりするほど料理の種類が少なく、しかも一品一品がしょぼい・・・。
「スイーツは?」と、甘いものを探すと、店の入り口近くにあった、小さく切り分けられたパウンドケーキと、アイスクリーム、そして、「チョコレートファウンテン」とかいう、とけたチョコレートが丸い滝のようなところから流れているものだけ。それを、小さく切ってあるバナナや、マシュマロにつけて食べるみたいだ。
きっと、子供の頃に見たら感動しただろう。これがこの店の売りなのかな・・・。
気を取り直して、料理を取り始めた。鶏肉のグリル、鶏肉の炒めもの、じゃがいも炒め、にんじん炒め、チキンカレー、鶏肉のピザ、醤油マヨネーズがかかったピザ、チーズとトマトのピザ、ぺペロンチーノ、クリームパスタ、切り干し大根の煮物、フキの煮物、単品野菜をチョイスしてドレッシングをかけるだけのサラダ、コーンフレーク、ヨーグルト、アイスクリームなど。その他、忘れているものもあるが、あと2~3種類だろう。
こんな内容の料理をとにかく食べた。文句を言いながら。何回「しょぼい」と言ったことか!
店の中は、とにかく子供の数がすごい。土曜日だから仕方ないか。
料理を取りに行こうとすると、親が子供をほったらかしておくものだから、走り回っている子供がぶつかりそうになるし、料理を取るときもボタボタとこぼして回りをひどく汚すので、段々気持ち悪くなってきた。
最後にアイスクリームを食べようと思って、その場に添えてあった、アイスクリームをすくい取る特大のスプーンを手に持つと、持ち手の部分まですべてベタベタ・・・。
「あ~~~もう嫌だ!最悪なブッフェだわ~!」
そう思いながら店を出た。
帰り際に、隣りに中華料理屋があったのを見つけて、「ここにすれば良かった・・・」と思うほど、後悔でいっぱいだった。
そのあとは、同じショッピングモールの中で家具屋を見たり、彼のスーツを見たりしてから車に乗った。帰りの車の中でも、さっきのブッフェの酷さにはがっかりしたという話に花が咲いた。そして、今日はもうお腹もいっぱいだし、スーパーでちょこっと買い物して帰ろう、ということになった。
スーパーで買い物中、いつもの喉の渇き・・・。でも、「今日はチートデイだから」と言って、美味しそうなイチゴやお菓子を買い、家に帰ってきた。

家に帰ると、段々お腹と胃が痛くなってきた。
「またお腹壊したかな・・・」と、深くは考えず、背中も痛くなってきたので、マッサージチェアーで1時間くらいマッサージしてみた。
すると、もっと痛くなってきたので、布団に入って横になることにした。
でも、横になっても痛みは酷くなるばかり・・・。
「あ~~~~痛い~~!痛くてじっとしていられなくなってきた~~!!」と、彼に助けを求めた。
「救急車呼ぶ??」と彼は言ったが、「もう少し様子見てみる」と言って、また横になった。
でもそれから10分も経たないうちに、「病院連れて行って~~!!」と、また彼に助けを求めることになった。

すぐに用意をして、家の車で救急病院まで向かった。
車の中では、「いたいよ~~」と言いながら、あっちを向いたりこっちを向いたりを繰り返した。
道中、「病院まだ?」と何度も何度も聞きながら、病院に着いたのは夜の9時頃だった。
歩くのもやっとで、支えられながら受け付けした。
待合室の椅子に座って、「ただいまの待ち時間30分」という表示を見たとき、発狂しそうになった。「こんなにも痛いのに、30分待つの・・・?」と。
周りを見ると、スマホを見ながら余裕たっぷりに待っている人が多い。
「あんた達、何しに救急病院に来たんだ!!そんなに酷くないなら明日でも良いだろ!!」と言いたくなった。
私は車椅子に乗せられ、「いた~~いいた~~い」の繰り返し。
やっと名前を呼ばれて診察室に入ったが、医者は「胃腸炎かな~~」と言うだけ。
「取りあえず点滴して、痛み止めもその中に一緒に入れますね」
「お願いします」
点滴をしている間、ずっと彼が近くで見守っていてくれた。すごく痛かったけど「私は幸せだなぁ」って実感した。
1時間経ってもまだ痛みは治まらなかった。「もう1回強い痛み止め打ちます。良いですか?」と聞かれたので、お願いした。
それから、少しだけ痛みは軽くなったが、トイレに行くと今度は吐き気に襲われた。
帰る時には、夜中の12時になっていた。
家に着いて布団に入っても、悪寒と痛みがひどく、あまり眠れなかった。
翌朝も痛みは変わらず、日曜日だったので消化器系の担当病院に行った。
やっぱりそこでも待ち時間は長く、「新しい就職先が決まったので尿検査をしてほしい」という人もいた。人それぞれ事情があるのはわかるけど、痛みが酷かったせいか、誰を見ても腹が立つ!!
「1分でも早くこの痛みを軽くしたいのに、昨日も今日も一体何なんだ!!」という気持ちだ。
やっと診察。ここでも、「取り合えず点滴と痛み止め」のセット!そして血液検査!
でも、やっぱり軽くならない。
血液検査の結果は、白血球の数がすごく高いということだった。身体のどこかで炎症が起きると、白血球の数値が上がるそうだ。
通常の倍近い数値になっており、超音波検査もすることになった。
「胆嚢やすい臓などには、異常は見られない」とのことで、「細菌性の胃腸炎」という診断になった。
とりあえず抗生剤などの薬と、3日間の絶食!
「言われなくても食べられる状態じゃないわ~」と思いながら、家に帰ってきた。
それから布団に入ったが、昨夜と同じ悪寒と痛み・・・。
彼が湯たんぽを出してきてくれて、布団に入れてくれた。それからはぐっすり眠れるようになり、ほとんど寝ていた。
その日と翌日の丸二日間は痛みが続いたが、その後は少しずつ痛みも軽くなり、最初に食べたタマゴ粥の美味しいことったらなかった。
「食ってこうじゃなきゃだめだよね・・・」と実感した。こんなにも美味しいものってあるんだから・・・。

その後、インターネットで細菌性の胃腸炎を調べてみると、鶏肉にきちんと火が通っていなくて細菌が死滅していなかったか、子供の手についている細菌が、料理やスイーツに付いてしまったか・・・など、そんな感じだった。

今考えると、ブッフェにハマっていたときは、ちょっと精神的におかしな状態だったかもしれない。
チートデイの本来の目的を見失い、ただただ食べたい欲求が強くなっていった。
自分の身体を大事にすることも、忘れていた。体調が悪くなっても、異常な食べ方をやめなかったし。
胃腸炎になって、食の大切さがわかった。
身体に良い食べ方をしよう!そして美味しいと思えるものを食べよう。
腹八分目って大事なことだ。
それを超えると、「苦しい」に変わり、美味しいものを食べたのに、「もういらない」に変わってしまう。
「そんなもったいない食べ方をするのは、精神的に病んでいるからなんだ」とさえ思うようになった。
彼と外出をしたら、美味しいものを食べて、「美味しかったね」と感想を言いながらいろいろなお店を見たり、ほしいものを買ったりしていたほうが、心の満足に繋がり、幸せだ。
ここまで痛い思いをしないと気がつかないって、本当に愚かだ・・・。
これからは身体を大事にしていこう。

それからというもの、休日の過ごし方は元に戻り、お洒落をして外出して美味しいものを苦しくならない程度に食べ、好きなものを見たり買ったりすることで心が満たされるようになった。
胃腸炎で、理想体重よりも更に2kg減ったので、今はかなりゆるい糖質制限をしながら、身体に優しく栄養のあるものを摂るようにしている。
何故かというと、絶食で手や顔がカサカサ、目はくぼみ、疲れた見た目になってしまったからだ。
痩せてきれいになろうとしたのに、これでは私の理想とはかけ離れてしまっている。
痩せたから必ずキレイが手にはいるわけではない。
そうだ!痩せることは、キレイなるための手段の一つにすぎない・・・。

そして美容にも興味を持ち始め、水を1日2L飲み始めた。
まだ2日目だけど、どんな変化があるのか楽しみだ。

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