社会人になっても、相変わらず好きな物を「ばっかり食い」したくなる。
幸いなことに、多少無茶な食べ方をしても太らない時期だったので、この頃は糖質制限後の今の体型と同じだった。
母親が、「若いころは、いくら食べても太らないものなのよ」と言っていたが、ちょうどその「若いころ」だった。
自分のとらえ方は真逆で、「私はいくら食べても太らない『体質』なのだ!」と、勘違いしていたころだ。母親のありがたい忠告など、一切聞いていなかった。
なので、食欲のまま、食べたいものを食べていた。
社会人になって、都会で一人暮らしを始めた。家の近くには、コンビニと小さな個人商店があった。
この小さな個人商店は、野菜や果物、大袋に入ったキムチ等をめちゃくちゃ安く売っていた。
コンビニにはない魅力がたっぷりのお店・・・。私はこのお店が大好きだった。
ある日、このお店の前を通りかかると、外にスイカばかりたくさん並んでいる!えっ!!うそ!!500円??!!
しかも大玉!
スーパーだと、間違いなく一玉二千円近い値段の品だ・・・。
「買おうかな・・・、どうしようかな・・・、食べきれるかな・・・」と、スイカの前に立ち止まり、悩んだ。
「でも、500円なら食べ切れなくて捨てたとしても良いと思える値段・・・。よしっ!!買おう!!!」
大きくて重いスイカを手にぶら下げ、家に向かった。
家に帰る途中はかなり急な坂になっているのだが、息を切らしワクワクしながら急ぎ足で帰った。
ハアハアと口を開けて歩いていたせいか、得体の知れない少し大きめの虫が、息と一緒に口に入ってきた!!
びっくりした私は、口を開け吐き出そうとすると、虫のほうから逃げて行った。しかも私の舌を噛んで!
痛い!!と思い口を閉じると、苦いの何のって!!虫が危険を感じ、変な液体を出したのだろうか・・・。
そんな得体の知れない虫からの攻撃を受けた後、ようやく家に着いた。
汗もたくさんかいたし、喉も渇いた。スイカを美味しく食べるにはぴったり!!
いよいよスイカを割った!!真っ赤に熟していて、一番の食べごろ・・・。
まずは1/4・・・。スプーンですくい、バクバク食べた。全然足りない・・・。
さらに1/4・・・。まだまだいける!
あ~もう面倒くさいから、残りの半分は切らないで食べてみるか・・・。
そして残りの半分も、豪快にスプーンですくって食べた。
完食・・・。意外と飽きないで食べられるものだ!!
でも、お腹が膨れてすごいことになっている。水分だらけで、真ん丸くなったお腹!!
もう動けない・・・。
それから10分ほど経った頃、いきなりお腹に激痛が走った!!
「お腹って、こんなにすぐ下るものか?」と、疑問に思いながらトイレに行った。
すると、やはりお腹を壊していた。
心配になって便器の中を確認すると、赤いではないか!!
「えっ!?これって血便ってやつかな!?」と、とても不安になった・・・。
便器の前に立ち尽くし、「何の病気かな・・・」などと、瞬時に最悪の状況までいろいろ考えた。
でも、我に返ると、「あっ!そういえば少し前にスイカを食べたじゃないか!!スイカってこんな色してる!!これはスイカだ!!」と、謎が解けた。一気に安心モードになった。
その日は、その後も何度か腹痛はあったが、病気じゃなくて良かったという思いで気持ちは楽だった。
その後、スイカに限っては無茶食いはしていないが、その大好きな個人商店では、度々メロンなどが激安で売られていて、その度に買ってきては、嫌になるほど食べた。
本当に学習しない私だ・・・。