何度もダイエットに失敗してきた私が、今度こそは!と心に決めて始めたダイエット!それが断食だった。
その頃は、夜の仕事も辞め、彼が経営するカフェの焼き菓子作りをすることになった。
もともと料理やお菓子は趣味で作っていたので、数十種類の焼き菓子を店頭に置く計画を立てた。
焼き菓子の方は順調だが、当然自分自身も店先に立つことになるので、今のままの姿を晒すわけにはいかない。短期間で確実に痩せる必要がある。
ネットで調べると、断食は定期的にやるととても身体に良いらしい。デトックス効果や、弱った内臓を元気にしてくれる。
そして、体重も落ちやすい!
一番の魅力がこの部分だ!そして、二週間で結果が出るらしい。
たかが二週間なので、焼き菓子の試作を始める前に終わる。そんな軽い気持ちで断食を選択した。
だが当時は、必要以上に食べまくり、お酒飲みまくり!!胃袋も相当大きくなっている状態!そんな状態から断食なんて、冷静に考えると無茶と言えば無茶な話。
断食一日目なんて、胃袋が「何かくれ!」と騒いでる。
脳は「カツどん」の要求ばかりしてくる。それでも、口にするのは水2Lだけで我慢し、「カツどん」を思い浮かべながら布団に入った。
でもそれは逆効果だった。その「カツどん」は、なかなか私を寝かせてくれない!胃袋も寝たくないと騒ぐ!結局、ぐっすり眠れないまま翌朝になった。
翌日も、「カツどん」は頭から離れない・・・。まだ一日しか経っていないのにこの辛さ・・・。この先もこの状態は続くのだろうかと、不安でいっぱいだった。
今まで、食べること、お酒を飲むことで精神的に満たされていたものが、すっぽりなくなってしまった状態。
一日の中で楽しみにしていたことがなくなってしまった・・・。何をするにも面倒になり、機嫌が悪い日も多くなってしまった。
そんな調子で、三日目、四日目と、ものすごくのろのろと過ぎていった。
しかも、よりによって私の誕生日が訪れた・・・。
誕生日当日。私の中では、彼から、「今日はくらい少し食べても良いんじゃない?」という言葉があり、美味しい食材を買いに連れて行ってくれる。そんな期待をしていたが、そんな様子が全く無い!
しかも彼から、「自分の夕食はお惣菜を買って帰る」とメールがきた。
私の誕生日を忘れているのか?それとも気を遣ってのことか?
今までの誕生日なら、彼がデパ地下から食べきれないほどの美味しいお惣菜やチーズやサラミやデザートを買ってきてくれるか、レストランの予約をしてくれている。なのに、今日は適当に惣菜買って帰るって何?と悲しくなった。
私は、「今日は私の誕生日なんだから、適当なショートケーキとカロリーの低そうなものを買ってきて!!」と送った。
買ってきてくれたのは、スーパーの棚で売られている安いケーキと、少しの刺身だった。
これには本当にショックを受け、その後の会話が弾むわけもなく、ただただ静かに誕生日が終わった。
それが元で、その後も何日かの間、彼と話すとギスギスしてしまった。
今考えると、断食中に美味しいものをたらふく食べると台無しになるから気を遣ってくれたんだろうと思える。でもそんな冷静な判断ができないほど、断食で精神的にやられていたのかもしれない。
そう言えば今回、糖質制限ダイエットをすると彼に宣言した時に、「えっ!大丈夫なの?」と言われた。
「何で?」と聞くと、「かなんちゃん、食べないダイエットすると家の中の雰囲気も悪くなるし、一緒にいると俺も精神的に辛くなるんだよね~」とのことだった。
断食をしていた頃を振り返ると、確かに気持ちに余裕がなく、いつもイライラしていたな・・・。小さな事で怒っていたような気もする。
食べる幸せがなくなったから、笑顔も全くなかったかもしれない。
断食で体重は減ったが、そんなんで痩せても精神的には全然満足できなかった。
ただ良かったことと言えば、断食後に最初に食べた重湯がとても美味しく幸せを感じられたこと。食べられることのありがたさが良くわかった。そんな気持ちを持ちながら、少しずつ食べる量を増やしていった。胃袋も小さくなり、少しの量で満足できるようになった。
でも、そんな生活も長くは続かないものだ・・・。あんなに辛い思いをして体重を減らしたのに、人間の欲求って深いな・・・。数カ月、数年経つと、また同じ食生活に戻る。
そして、今回の糖質制限前の、体重63.5kgの私ができあがる。